8/27(金)に受験し、ちょうど3週間後に結果がメールで通知されました。
■合否結果
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【 合 格 】
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総受験者数 1,170名
合格者数 872名
■分野別の得点率
応用数学:100 %
機械学習:100 %
深層学習:94 %
開発環境:93 %
各小問毎の配点が同じと仮定しつつ、Twitterなどで公開されている方々の得点率を見比べると、 各分野の正答率の「刻み幅」がなんとなく見えてきます。 そこから出題数、ひいては正答/誤答数も予想してみると、 私の場合は 深層学習で3問、開発環境で1問、合計4問の誤答、(正答101問)/(全105問) = 約96%の出来ということになりそうです。
試験では、明らかな知識不足やど忘れで勘で選んだ問題が8問ほどあったので、 誤答の大半は、この8問の中に含まれていることでしょう。ということは逆に、その他の問題はほぼ100% 正答だったはずです。この結果 個人的には満足です。というのも、 「確信をもって選んだ回答が正答」 = 「自力で堅実に論を進める実力ないしポテンシャルがある」 ということは、自力で研究や開発をすすめるのに重要なことだと思うからです。 一方、自信をもって解けなかった8問については、足りなかったのは知識と記憶であって、知らない・覚えてないと自覚できれば、調べればよいだけの話。実務上さほど問題にならないでしょう。
さて、試験当日の様子や感想 みたいなことは、他の方が詳しく説明してくれているので、 以降では、E資格受験までの取組み等をざっくりまとめます。 これから資格を受ける人、受けようかどうか迷っている方の参考になれば幸いです。
~ 2015
大学院 & 業務で、オーディオ/音響のアルゴリズムの研究開発。
非線形最適化や、音声系の機械学習の基礎知識、c/c++, python プログラミング等は、学生のころから馴染みがあり、業務でも継続して触れ続けた
2016年
課外活動でちょいちょい、ディープラーニングをはじめてみる
体系的に学ぶことはなく、興味のある論文をいきなり読んで実装を始める
オーディオ系のアプリケーションを業務外でやるのは、なんだかはばかられるので、画像・自然言語を主に。
2018年
新テーマでDLを使い始めようと思い、一通り学び直しのつもりで 松尾研のDL基礎講座を受講・修了
今思えば、「受講者の想定レベルが高めのE資格認定講座」に相当する内容だったと思う (受験資格は得られないけど)
2019年~
業務でDL使い始める (中長期案件)
と同時に、所属部署の有識者としてDLを使い始めるメンバーをサポートを頼まれることもちらほら。
2021年
部のメンバーを見ていると DL使いこなしに苦戦する方もかなりおり、これからDLを始める人に何をどうやって教えるのがよいか? を考えることが多くなる。-> 一つの手がかりとして、E資格を見ると、DLエンジニアの最初の一歩として最大公約数的なモノになっているかもしれない、実際に受けてみよう、ということに。(この件に関する私なりの結論については、この記事には書かれていません)
認定講座は、一番 安価にすみそうなラビット・チャレンジを選びました。 ざっくりの内容と感想はこのブログの別記事にまとめてあるのでそちらをご覧ください。
2021/1/7: ラビットチャレンジに申し込んだ
2021/2/7: ラビットチャレンジのスタートテスト合格 (勉強時間 10h )
2021/2/10: ラビットチャレンジ: Phase.1 応用数学 (勉強時間 8h)
2021/3/30: ラビットチャレンジ: Phase.2 機械学習 (勉強時間 21h)
2021/4/12: ラビットチャレンジ: Stage.3 深層学習 Day1, 2 (勉強時間 17.75h )
2021/7/5: ラビットチャレンジ: Stage.4 深層学習 Day3, 4 (勉強時間 28.5h )
おそらく私と同程度の経験者の方が最短で駆け抜ければ、上記の1/5の時間もかけずに完了できると思います。自分は 実装演習課題をあえてスクラッチから書いたり、refer された論文に目を通したりと、およそ認定を受けるために必要のない取り組みまでやっていたためです。
逆に数学・プログラミングも苦手です、という初学者の方ですと、講座の資料・動画の理解をするのに苦戦してもっと時間がかかる可能性もあるかなと思います。
どちらにせよ、経験者/初学者に関わらず、できるだけ早いタイミングで認定テストや徹底攻略ディープラーニングE資格エンジニア問題集 (以下, 黒本) 等を眺めて、どの程度のレベルの理解が要求されるかを把握しつつ、講座に取り組むといいと思います。
受験資格取得後、ラビット・チャレンジから Stage.5 として 数種類の対策問題と、いくつかの発展的な内容を扱う動画が公開されました。動画の方は、Bert, RNN/LSTMの動画を一度軽くみるくらいにして、もっぱら問題を解いていました。
解いた問題は、
ラビット・チャレンジから配布・公開されたものとして
G検定の模擬問題 (約700問)
ステージテスト・認定テスト (合計 180問)
E資格試験の模擬試験 "Eもぎ" 1,2 (合計約 160問)
JDLA による E資格試験例題集 (20問)
E資格直前対策講座 (10問)
その他の講座
黒本 (約 460問)
です。
何周か問題集を回して解くわけですが、全数解き直していると時間がもったいないので、要復習のフラグが立っているものだけ解き直しをします。
フラグを立てる判断基準は、
回答時、自信が持てないもの
まちがったもの
解説の情報の中に、復習が必要だと思った事柄がある場合
で、G検定についてはE資格のシラバスには含まれない問題もあるので、 そういった問題は、一度解くだけにして要復習フラグはたてませんでした。
直前対策の期間は、直前 2週間で、要復習の問題数の推移をみると、
元の問題数約1500問 (試験2週間前)
1週目完了時 433問 (試験3日前)
2週目完了時 32問 (試験前日)
みたいな感じでした。
要注意点としては、認定講座は必ずしもシラバスの全範囲をカバー出来ていないということです。 1週目問題を解いていると、講座では扱っていない事柄にたくさん出会います。
知らない言葉・手法などに出会うたびに、ノートに書き留めておき、あとからまとめて web記事, 論文等にあたって、足りない知識は補完しました。特に強化学習と、GAN は講座と模擬問題とのギャップが激しい印象です。ラビット・チャレンジでは、RNNの基本的な説明以降の発展的な内容については、主要な手法を取り上げて、ほぼ数式無しに、そのコンセプトや、ProCon・特徴を説明するようなアプローチを取っています。対して、黒本では数式の導出/理解を求める問題もバンバン出ますし、一つのタスクに対して複数の手法を取り上げて差異を問うような問題も出てきます。数学&アルゴリズムが得意な方なら、講座で学んだコンセプトと、問題文中のヒントから自力で答えを導けたり、選択肢をかなり絞り込むこともできますが、限られた試験時間の中で、そこまでやることは多くの方にとって至難の業だと思います。基本的には、論文に直接あたるか、図と数式をちゃんと取り上げているようなリッチな解説記事や書籍を探してチェックしておくことをおすすめします。
講座を補完する、といえば 自習本として進められることが多い、ゼロから作るDeep Learning (1), (2) は、私は読みませんでした。シラバス範囲のカバーとしては、ラビット・チャレンジ + 自力論文/web記事漁りで自分の場合は十分でした。同僚から少し内容をのぞかせてもらった限り、アルゴリズム <-> コード の相互変換を自力でやるのが難しい(面倒だ)という方にはよい本だな、という印象です。
ちなみに、「黒本は本番よりも難しい」という前評判でしたが、そこまでのレベル差は感じませんでした。 コード読む系・計算を要する問題では、黒本の方が解くのに時間がかかる問題が含まれてはいますが、求められている理解レベルはさして変わりがないと思います。黒本がまるで分からん! という人は 本番試験で高得点をとるのは難しいんじゃなかろうかと思います。私は 今回初受験なので、完全に想像ですが、同じシラバスだと、問題は非公開と言えども回をおうごとに対策がとられてしまうため、例年問題の側を すこーしずつ難しくしているのかもしれませんね。
ということで、一段落です。ここではその内容については述べませんが、"これからDLを始める人に何をどうやって教えるのがよいか?" というところには、E資格の勉強やってみて、一緒に資格取得を目指して勉強している方々を見てきて、自分なりの仮説が立てられましたので、それをこれから自分のチームで試していこうと思います。
また、詳しくは書けないのですが、E資格取得をきっかけに出来たコネクションから、新しい取り組みも始まろうとしているので、課外活動としては、こんどはそちらに集中しようと思います。